同じ公約破りでも 民主党のそれが許されないわけ

No.609 同じ公約破りでも 民主党のそれが許されないわけ

 安倍政権はTPP参加を実質的に決めて動き出した。前民主党政権はTPPはマニフェストでは参加しないはずだった。だが、菅政権から前のめりになり、野田政権も何とか参加したい意向を強くにじませた。農村からは強い反発があった。

 また、安倍政権は衆院選公約で、原発政策に関しては3年後見直しを掲げていたが、すでに既存原発再稼働に舵を切っている。原発再稼働に反対する世論は過半数を超えているが、完全無視だ。

 消費税引き上げでは、民主党はマニフェストを完全に反故にして強引に成立させた。

  選挙公約をどこまで守るか。公約違反をやっても自民党への咎めがさほど厳しくないのに対して、民主党の公約破りは全く許されない雰囲気だ。この違いを考えてみた。

 自民党の単独政権が長く続いてきたが、自民党の公約は歴史的に内容の伴わないただの宣伝文句との見方が定着していた。誰も信用していなかった。

 民主党の存在理由は自民党的なもののとの決別だった。その一つに実のない公約の見直しがあったことは明らかだ。

 民主党は公約をマニフェストと名を変え、売り込んだ。だが、彼らが政権の座に就くと、マニフェストを弊履のように捨て始めた。何とかして実行しようとのもがきさえ見せず、次々に捨てていった。自民党とどこが違うのだ、との印象はきわめて早い段階でついた。

 民主等が掲げたマニフェストの多くは、既存の利権などにメスを入れるもので、自民党が長年築き上げた様々な既得権と闘わなければ勝ち取れないものだった。国民が民主党に期待したのは闘う党の姿だっただろう。

 がっちりと組み上がられた官僚機構との闘い。これができなければ官主導から政治主導への転換もなく、新たな政策の財源も出ないのは明らかだった。
 
 官僚機構との闘いで、検察との対峙が迫られたとき、あっさりと腰砕けになった。

 官僚機構の整理も、最初こそ勢いがよかったが、それでも枯れ枝の整理程度に留まり、太枝をばっさりやる力を出せなかった。太枝を整理しなければ、財源もでてくるはずもなかった。

 普天間基地、消費税では完全に官僚のトリックにはまった。野党時代の不勉強のツケを払わされた感じだった。そもそも、党内に何と闘わなければならないのかのコンセンスもなければ、閣僚にも党員にも覚悟がなかった。
 
 原発問題だが出ると、”労働組合”が党のアキレス腱になった。民主党がスポンサーとしていた労働組合は現在の社民党全盛時代のそれとは全く異なるものになっていて、もはや弱者の組合ではなくなっていた。企業の組織が正規社員と非正規に別れ、大企業が下請けや外注のピラミッド構造の頂点をなす中での正社員による労働組合。会社から選別に選別され、平社員でも実質的に管理職になっている現実。大企業労組が国民とも遊離した特権階級に変質していた。電力労組は会社の別動部隊として、原発の推進を組織課題としていた。
 原発事故が起きて、東電の処理が不可欠になったとき、民主党は“労組”の顔を立てて東電救済に走った。これは失政だったことが今、くっきりと浮かび上がっている。同時に原発政策をきちんと打ち立てることができなかった。その状態は今も変らない。

 民主党の失敗は、国民が何を期待しているかを読めなかったこと、支持基盤の特性を見ていなかったことだ。今もってそこに気づく反省ができていないように見える。これで国民の民主党への期待と信頼は消えた。“国民の生活第一”のスローガンも”コンクリートから人へ”のキャッチコピーも取り下げて、公約も政党としての理念も自ら踏みにじり、恬として省みず。つまり、党の支持基盤を足蹴にしたのだ。

 自民党は公約をどう掲げようと、支持基盤に金をばらまき、票田を維持する手法を作り上げていた。民主党は”浮動票”に頼る以上、どこまでも理や筋を党是としなければならなかったはずだ。いろんな理想も掲げなければならず、そこへの道筋を示す必要があったが、その自覚がなかった。変質した労組との関係も整理が必要だった。

 国会における自民党の暴走を許すわけにはいかない、と言われる。その通りだが、失敗の反省ができない民主党への期待はない。(2013-7-10)

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