ものごとの真実が見えるようになる年齢

No.575 ものごとの真実が見えるようになる年齢

 本澤二郎氏の「日本の風景」という日記風のBlogを読んでいると、小生と年がほとんど同じこともあって共感させられることが多い。

 「午年の69歳が頑張っている。1942年生まれだ。・・・・・昔であれば隠居の身だ。しかし、ようやく一人前になったころである。世の中もよく見える世代だ。宇都宮徳馬さんの口癖に「50、60は鼻たれ小僧、男盛りは真っ80」があったが、確かに間違いない。」(2011年10月11日)

 「政治記者20年の人生に大満足してきた筆者だったが、言論界の真相がわかると、釈迦の手の中で生きてきた小さな人間でしかなかったことがわかる。」(2012年10月15日)

 彼のBlogには、現役引退後に世の中のメカニズムが見えるようになったことが随所に書かれている。小生も同じ思いをする。

 母は小生が外交官になることを望んでいた。本人はそんな職業には全く興味がなかった。だが、外交官がどうやら官僚の中でも最も優雅な生活をしているらしいことを知ったのは2、30年ほど前のことだった。最近では外務省内では“親米でなければ人にあらず”との雰囲気だそうである。

 日本はアメリから独立しているとは言えない。逆にアメリカからすれば日本は準植民地である。そういう日米関係を作ってきたのは自民党と官僚、財界だった。外務省はフロントとして政官財の空気を踏まえながら米国との緊密な関係を作ってきた。ただ、外務官僚から日米関係を骨がらみにされると、政府が身動きが取れなくなり、振り回されることになった。政治と官僚の力関係が逆転したのだ。そのトラップに引っかかったのが鳩山政権だった。

 小泉政権時に田中真紀子外務大臣が外務省と派手なバトルをやって結局首になった。以降、彼女にはいろんなレッテルがついて、政界の隅に追いやられた。そして国民も何となく彼女を”危なっかしい”人物と見るようになったらしい。彼女が野田政権で文科省の大臣に就任したとき、彼女と政権へのバッシングはひどいものがあった。だが、彼女の外務省とのバトルもアングルを変えると違ったものが見えてくる。起こるべくして起きた衝突だった。(小泉政権の対米従属の姿勢からは彼女はいずれ排除されなければならなかった。)また、彼女を追いかけたメディアの振る舞い、変節にも興味深いものがある。

 沖縄から米軍を追い出すことはできるか。答えは日本次第。日本が出ていけと言えば、アメリカは出て行かざるを得ない。だが、沖縄の米軍を引き留めているのは日本に他ならない。日米同盟の証、あるいは人質として日本が引き留めている構図だ。対中、対鮮への抑止力などは口実だ。日本の官僚が戦前の天皇に代わる存在としてアメリカを必要としたのだ。戦前、官僚は天皇の名の下に国政を壟断した。戦後、同じ構造を続けるためにアメリカが必要だったと言うこと。アメリカにしてみれば居心地のいい椅子を与えられた。(皮肉なことに、アメリカは先の戦争での対日勝利の美酒が忘れられず、それを世界各地に求め戦争を仕掛けたが、2匹目のドジョウを見つけることができないままに自国が沈没しかけている。日本が世界にも希な〈希望して奴隷になる国〉だということを認識していなかったツケでもある。)

 このことは何を意味しているか。憲法が改訂され、天皇が元首に戻るなら、アメリカの役割の大半は不要になる。アメリカが沖縄から去る日本側の条件が官僚的には整うということだ。

 日本がアメリカを利用している例がいろいろと見える。

 アメリカは日本に“年次改革要望書”を突きつけてきたが、真実は多分日米合作のプログラムで、あたかもアメリカの提案のよう見せかけたのだろう。TPPも同じだ。勝手な推測だが、関わっていたのは日本の財界、経産、外務、内容に応じて総務だったり厚労だったりだろう。経団連がTPPにこだわるのも、ここまで段取りをしてきたという思いがあるではないか。アメリカの指令、ということで国内政治を押し切る手法が定着した。

 野田総理は30年脱原発をアメリカが反対という理由で棚上げにした。だが、これも日本がアメリカに言わせた話、あるいはそういうオピニオンを持つ米国のシンクタンクとか政治家を日本が使ったということだ。その膳立てをしたのは外務省と経産省だ。

 沖縄は政府からは捨て石にされている。だが、捨てられているのは沖縄だけではない。われわれ国民全体ではないか。原発事故とその後を見ていると、棄民が被災者だけではないことが実感を持って迫ってくる。沖縄についてあえて言えば、今のままの政治風土では、仮に米軍が去っても、多分彼らには安堵は戻らないように思える。沖縄と本土間の摩擦が先鋭するからだ。

 そんなこと、あれこれがようやく見えてきたのは小生も60を過ぎてのことだった。それでも宇都宮徳馬の言葉を借りれば”洟垂れ小僧”にすぎない。

 政治家も、企業のトップもどんどん若返る。それはそれで結構だが、老には老の役割があるのではないか。そんなことも思う日々である。蛇足だが、小生は“憲法改正”は反対である。(2012-10-17)




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