ポスト京都議定書  延長なら日本は離脱?その代償は大きそうだ

No.508 ポスト京都議定書  延長なら日本は離脱?その代償は大きそうだ

 11月29日、政府はCOP17で京都議定書が延長される場合、日本は議定書から離脱することを閣議で決めた。

 現在の温暖化ガスの排出量世界1は中国で、アメリカがそれに続く。両国で全世界の41.3%、それに3位、4位のロシアとインドを足すと50%を超える。それに対して日本は5番目で、占める割合は4%である(注)。

 京都議定書は97年のCOP3で採択され、08年から12年までの各国の温暖化ガス削減目標を定めた。しかし、アメリカが議定書の批准を拒み、中国、インドは発展途上国として数字をあげての削減義務が課せられなかった。結局、京都議定書で温室効果ガスの削減義務を負ったのは先進国では日本、カナダ、EUだった。

 これに対して、日本では財界中心に京都議定書を批准したのは失敗、離脱するべきだとの意見が繰り返された。しかし、京都が冠された議定書からの離脱は許されるべくもなく、日本は半ば面従腹背の形で議定書の削減目標にむきあっている。この間に政権交代が行われ、鳩山内閣は2020年の温室効果ガス削減目標を90年比25%と表明した。財界が猛烈な巻き返しに出て政権末期には25%は半ばうやむやになっていた。

 京都議定書の期限が切れた後の13年からの国際協定をどうするかの議論が一昨年のCOP15から毎年続き、現在COP17が大詰めを迎えているところである。日本は昨年のCOP16から、新しい協定について全世界が参加しないなら日本は参加しないと、強硬に主張している。その姿勢は今年も変らない。早い話、世界1,2,3位の排出国が削減目標を課せられなくて、なんで日本がと言いたいのだ。

 国別総量は一つの指標である。指標の取り方はいろんなものがある。国民一人当り排出量、GDP当り排出量、生産原単位当り排出量・・・・・。どの物差しを持ってくるかで、公平の話は変ってしまう。さらに、中国を含めて開発途上国の主張は、今起きている地球温暖化の責任は、先進国にある、従ってアメリカ、EU,日本が大幅な削減量を引き受けるのは当たり前というものだ。

 こんな話になると、アメリカがこの協定に加わっていないのが最大のがんであるのは明らかだ。そのアメリカは日本を巻き込みながら、経済の中国包囲網を作ることに余念がない。経済成長が著しいインドにも、アメリカにしてみたらキャップを被せたいところだ。これらの国の温暖化ガスの排出量を抑えることはその目的に合致する。見方を変えると、日米が連携して中印の経済成長を抑えようとの思惑がちらつく展開だ。

 そんなことは中国もインドも呑込み済みで、温暖化ガス削減を口実に将来を睨んだ経済のヘゲモニー争いが展開されているのだ。それ故に新協定が作れない状態である。先進国であり、かつエネルギーがぶ飲みで、かつ横暴なアメリカにどこの国が鈴をつけるかでもある。そんな中で、新協定は2020年からとの案が出てきたという。中国も参加をほのめかしている。きわめて意味深な案である。

 13年から19年の間は空白を避けるために、現在の京都議定書を延長しようと案がEU中心にある。ただ、その時日本が参加をしないなら、日本抜きという話も出ているようだ。日本が離脱した場合、開発途上国は日本のCO2排出権取引(CDM)に協力しないと牽制しているという。排出権取引から閉め出されると日本は2重3重に大打撃を受ける恐れも出てきた。CDMは主に開発途上国のCO2削減プロジェクト等に日本が協力することで、そこで減ることになったCO2量を日本国内の削減量にカウントしようというものだからだ。閉め出されることは、プロジェクトからの締め出しと、CO2の排出枠を得られないことを意味する。海外から削減枠を得られないなら、国内の純削減量が増えることになる。

 日本が安易にアメリカの尻馬に乗って世界から孤立すると、待ち受けているものは想像以上に厳しいものがありそうだ。世界から相手にされなかろうが、落ち目のアメリカを頼んで突っ張るか。(中村公雄 2011-12-6)

注.出典) EDMC/エネルギー・経済統計要覧2011年版 (JACCA Webから孫引き)

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この記事へのコメント

京都議定書大失敗の教訓を生かして明るい未来を
2017年12月13日 18:48
日本にとって京都議定書が失敗どころか大失敗であったことは既に歴史が証明している。日本人は失敗を失敗と認めずに失敗から学ぶことをしないのが悪癖である。京都議定書大失敗の反省を生かせと声を大にして言いたい。当時の政治家や科学者、研究者、環境省と外務省は自らの過ちを認め、国益を損ねたことを真摯に謝罪すべきである。それが京都議定書大失敗という結果に対するせめてもの償いであろう。当時の関係者は自分たち個人の面子のために、日本国民全員に合計1兆円相当の経済的被害を与えたことを反省しているのか。のうのうと天下りでもして私腹を肥やしたのであれば、許しがたいこと。

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