東電柏崎刈羽原発7号機復帰  丁寧な点検と慎重な運転が欠かせない

No.357 東電柏崎刈羽7号機復帰  丁寧な点検と慎重な運転が欠かせない

 地震で壊滅的な打撃を受けたと見られていた東京電力柏崎刈羽原発7号機が5月7日から試験運転を始めた。途中で計器に異常見つかり中断したが18日から送電を開始、そのまま本格稼働に移行すると言われている。

 復旧したといっても、この原発、地震で許容以上の力を受けた、少々下品な言葉を使えば、キズモノである。キズの性格は1985年御巣鷹山で墜落した日航機と同じものと言われている。日航機の事故は、7年前の事故でストレスを受けて強度が低下した圧力隔壁が不適切な修理も加わって、疲労と気圧変化に耐えられなくなって破壊したことが引き金になったのだという。柏崎の原発機器では圧力容器内の機器とかタービンは検査やオーバーホールをしたが、配管類などについては、目視で変形がないから大丈夫とされたようだ。大規模なプラントの機器が外部から受けた金属ストレスについては有効な測定方法も見あたらなかったようだ。このような状況下で安全をどう考えるかで、学者の間でも厳しい議論があったと聞いている。同時に柏崎周辺の地盤の安定性や断層の有無、大きさについても、学者の見解が分かれたようだ。

 一般的にいえば、何事も絶対の安全はない。利便性と危険のバランスで安全の許容度を決めていくほかに手がない。医薬品の安全性などはその典型である。原発も例外ではないが、原発が大事故を起こせば、多大な人的損害が世界的規模でかつ世代を超えて起きるので、これは別格として考えた方がよさそうだ。絶対の安全性からは原発を使わないことになるが、どうしても使わざるを得ないなら、地震でダメージを受けた機器類の再使用は避けるべきだろう。だが、原発の主要機器の取り替えは、原発全体を最初から作り直した方が費用的にも有利になると考えられ、東京電力は最小限の修理を選んだ。

 一方で、地震で一度に7基の原発を失いかけた東京電力は経営的に大きなダメージを受けた。また温室効果ガス削減を原発中心に進めようとしてきた我が国の温暖化対策戦略も大きな影響を受けている。そこに何が何でも再稼働の強い意志が働いた。

 柏崎・刈羽原発を抱える新潟県知事は、この発電所の再開に非常に慎重だったとされる。 しかし、慎重な知事に対しては政府・自民党、電力会社などが再開へさまざまな圧力をかけ続けたとのこと。それは知事をして“脅し、怖かった”とまで言わせた。国は地方自治体の生殺与奪の力を持っている。中央の意に従わない都道府県、市町村には交付金を止めることや公共事業を回さないなど、さまざまな手で絞めあげることが簡単なようだ。また、新潟県が原発に反対するなら、電気は使うなとのメールも多数寄せられたという。

 勝手な想像だが、この原発の安全を審議した国や県の検討委員会のメンバーにもさまざまな圧力がかかったのではなかろうか。県の安全審査会は、最初は再開に慎重だったが途中で容認に急ハンドルを切ったと言われる。議論の煮詰まりで各委員が納得したのであればいいが、委員会の態度がかなり唐突に転回していることに不自然さを覚える。

 とにかく、7号機は事故歴がある機器として、慎重にも慎重に運転して欲しい。原発全体は定期点検間隔延長と点検期間の短縮の方向だが、この原発はそれでは危険だ。頻繁に丁寧な点検を行うことが欠かせない。プルサーマルの実験などは厳禁だと思われる。同時に、周辺の断層とか地盤変異などのついては調査を継続し、危険な状態が見つかれば即運転停止(=廃炉)も視野に入れて欲しいと思う。

 県知事は試験運転を認めるに当たって、先のことなど誰にも分からない、とコメントしている。悲痛である。 (09-5-28)

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