余りにも情けない  これでは企業は信頼を得られない

No77余りにも情けない  これでは企業は信頼を得られない

 中国電力でダムの完成後の測量データを改ざんして所轄官庁に提出していたことが明らかになった。なぜ改ざんの必要があったのかを考えると、ぞっとする。だが、事の当否を一般の人が知ることはまずできない。そこには密室の厚い壁がある。国立大学が法人化された意味も見えてくる。中国電力は環境活動にも熱心な企業だった。その企業をどう見ればいいのだろうか。一般的に、企業への信頼とは何だろうか。何を信じればいいのだろうか。

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 中国電力が86年に完成した土用ダムの湛水データを改ざんして所轄官庁に報告していたと報道された(10/31,11/1朝日新聞)。湛水後の92年から97年に測定された堰堤の沈み込み量とひずみ量である。いずれもダムの安全性に関する最重要データとされる。付け加えると、その報告書の責任者が現社長ということである。
 
 記事はなぜ改ざんが必要だったのかについては触れていない。常識的に考えると、データの改ざんがあった理由は、測定値が基準を超える値で、そのままではダムが使用できなくなるか、特別の検討が必要だったのだろうと思われる。中国電力側は、“ダムは安全”と言っているとのことである。この根拠も分からない。20年ほど大丈夫だったから、今後も安全だというのなら、これはひどい話である。

 設計にはある程度の安全率が盛り込まれていることが普通で、きちんとした設計と工事がなされていれば、通常の使用ではたちまちに事故につながることはないだろう。だが、コンピューターや解析技術の発達で安全のマージン量(あるいは安全率)は、半ば勘と経験に頼っていた時代に比べると減らされていると見られる。ただ、湛水データのような重要事項で改ざんがあると、安全率も十分とってあったのかということ自体に疑念が生じてくる。また、工事が設計通りきちんとできていたかも疑わしくなる。コンピューターによる解析は万能ではない。ある条件がインプットされなかったり、前提とされる条件が違っていれば、結果は全く異なったことになる。原発の耐震強度が見直されているのも、建物と機器が地震で想定以上の荷重を受けることが分かってきたからだ。

 記事が問題にしていることはコンプライアンス(法令遵守)の視点である。この件ではコンプライアンスだけではなく、本当に安全なダムなのかの総点検が必要である。

 コンプライアンスについて言うと、電力会社は地域と国を代表するトップ企業として、そのキャンペーンの先頭に立っていたと思う。そして環境問題にも非常に熱心であるイメージがある。これは何も中国電力に限らない。一方では国民(住民)をだましながら、一方では住民へ環境啓発活動を行う。この全く相矛盾した行動にとまどうばかりだ。だが、意地の悪い見方もできる。それは環境活動などはカムフラージュではないかということだ。こう言ってしまうと身も蓋もないし、こうは思いたくない。企業全体としてはコンプライアンス重視、社会貢献の方向に舵を切っている中で出てきた過去の負の部分だ、と思いたい。それならば、社長がデータ改ざんの当事者であることに強い違和感がある。

 大規模構造物などではできてしまうと、瑕疵が指摘されようとも、それは安全だと、こともなげに言われることが多い。当事者が言うケースもあれば、第三者的な**安全委員会などが言うケースもある。だが、第三者も当事者の息がかかった人々が多いことも衆知のことである。高度の専門性を掲げ、外部や批判者をシャットアウトする形である。そのために本当のことは闇に葬られてしまう危険性が高い。

 少し横道にそれるが、企業活動の正当化には、実際はもっと手の込んだことが、制度的に行われている。仮に批判的にものを言うとすれば、能力的にも大学などの研究機関のアカデミズムである。それならば、日常的に彼らを囲い込んでおけばいい、と言うことになる。その延長として出てきたのが国立大学の法人化だった。企業は、研究という形の委託を大学に常時出しておくこと。あるいは自社の設備や施設を提供するとか共同研究を増やすなどのこと、これらが日常的に行われているだろう。

 中国電力に限らず、企業のウソだとか不誠実な活動が相次いで指摘されている。同日の新聞だけでも、損害保険金未払い、同保険過剰徴収も報道されている。複数の欠陥商品の報道もある。企業の社員というと、大企業であっても結構肩身の狭い思いをすることがあるが、そういうことも、人々が企業に抱いている、どこか信用できないという思いを映しているのだろう。

 この件、またかという思いと、何か救いのない思いが交差する。

追記
 同電力では下関火力発電所の冷却水の取り込み温度と排出温度のデータが改ざんされていた疑惑が報道されている(11/15 東京新聞)。改ざんや隠蔽はこの企業の体質かもしれないと思う。

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