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zoom RSS 豊洲新市場問題から 2. 環境の専門家とは覚悟がいる存在

<<   作成日時 : 2017/01/25 14:23   >>

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No.688 豊洲新市場問題から 2. 環境の専門家とは覚悟がいる存在

 温暖化対策はまったなしである。だが、我が国の取り組みは極めて鈍い。政府も経済界も、企業の対応に完全に腰が引けている。その代わりに、彼らが期待しているのは炭酸ガスの地中処分(CCS)という未来技術である。炭酸ガスを廃油田などに押し込む技術に期待をかけている。年間に何億トンもそれで処分できるなら、現在の工場設備を改造する必要もないし、産業や企業間のバランスが変わることもない、そんな考えだ。CCSの技術的な確立までには多分長い時間がかかる。加えて倫理的な問題も大きい。だが、日本の技術なら、すぐにでもできるような幻想に身を隠す。技術信仰の典型だ。

“そんなこと、技術でなんとかなるだろう、なんとかしろ” そんな指示は技術や開発部門、あるいは研究部門にいた人々は日常的に耳にしていることだろう。“それはできない”と答えるなら、首か左遷。“できない”にも中身はいろいろだ。やってやれないことはないが、コストが膨大で認められるとも思えない、完成までに数年、数十年もの時間がかかる、中には原理的におかしなものもある、採算がまったく合わないものもある、目先はごまかせるが、先々はどうなるか分からないというものもある、自分の能力を超える課題もある。NOと言えないのなら、何かすることになる。

 豊洲新市場、激しく汚染された土壌、それを“○○年までに改良して環境基準値に納まるものにせよ。それがお前たちの使命だ”神様からの指令。技術グループはできると考えていたかどうか?逆らうことができないムリな要求ではしばしば不正や手抜き、すり替えが起きる。有名な自動車会社の排ガスデータ不正事件の背後にあったのは、経営陣の開発部隊に対する無理な要求だった。豊洲新市場の土壌改良で何が行われていたか?9回目の測定で、過去8回とはまったく異なる汚染数値がでた。過去の測定はこのプロジェクトの土建を担当した会社の息がかかった測定会社が行っていた。9回目は測定会社が異なっていた。

 何かのプロジェクトが動き出した。その途中で環境的に問題が見つかることがある。そういう場合、計画を変えることが希にある。希であって、多くはいろんな形で無視されたり、理屈をつけられて計画が進められる。中には最初の環境アセス自体が骨抜きにされているものもありそうだ。環境アセスでNOになるケース皆無に近い。現在進行中の辺野古基地、リニア新幹線はどうだろう。

環境アセスをやるのも環境の専門家、新市場の地下水の汚染状態を繰りかえし測定したのも環境の専門家集団。彼らはそのプロジェクトはダメだとか、この工事は継続すべきではない、と言えただろうか?あるいは福島で、汚染地への帰還は中止すべきだと言えるだろうか。言えば、排除されるのが現実だ。

 新市場を巡る都の専門家会議。メンバーの多くは学者。彼らは自分が何を期待されて呼ばれたか、よく知っている。招集者の意図とまったく異なった意見が言えるか?

環境の専門家は誰のための環境か考えて欲しい。新市場なら、守るべきは都民のための、いや首都圏の市民のための環境だろう。もっと微視的にはそこで働いたり、出入りする人々のものでもあるだろう。いや、彼らは考えているだろう。板挟みだ。それでも学者は企業人に比べればまだものが言える存在だ。

 どういう局面でも環境の専門家は板挟みになる存在。嫌われたり、危険視される存在でもあり、自分を危険にさらす存在でもある。技術信仰やそれを笠に着た神様たちと闘わざるを得ない存在だ。そしてまた自分とも。それは自分で選んだ道だ。覚悟を。 (2017-1-23)

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