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zoom RSS 前号の補足 国民サイドに立つことのない原子力規制委員会・規制庁 

<<   作成日時 : 2016/12/25 00:03   >>

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No.686 前号の補足 国民サイドに立つことのない原子力規制委員会・規制庁

 前号(No.685)で、原子力規制委員会の現状について批判しましたが、そのひどさ加減は想像以上です。12月9日の衆議院原子力問題調査特別委員会での民進党の初鹿明議員と規制委員会の田中俊一委員長・規制庁の櫻田道夫原子力規制部長のやりとりが、ジャーナリストのまさのあつこ氏のエッセーの中に出てきます。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/masanoatsuko/20161221-00065741/

 質疑は、原発機器の材料強度問題です。フランスで指摘された炭素の偏析問題が中心ですが、やりとりの中には看過できない発言があれこれありました。“材料の強度基準に関しては規制委員会は関知しないと”取れる委員長発言もありました。また、規制値について規制庁は非常に弾力的に考えている、極論すれば、できたものの実測値が、設計や規格から外れていても言い訳がつくならOKと言わんばかりの答弁もありました。一体何を基準に検査をしているのでしょうか。また、国民は何を信じればいいのでしょうか。

この論議を聞いて、追加取材での彼女の感想は“この国会質疑を通して明らかになったのは、クラス1施設の安全性(鋼材の炭素濃度)について、国民には信頼のよすがないということだ”。また、“規制の不在は深刻なレベルにある”というものです。

 ここで指摘されているのは最重要機器の材料の品質に対する規制側の姿勢です。ここをおろそかにして何を審査するのだという部分です。しかし、規制庁も規制委員会も、立地、地盤、設計、製造、管理の全分野にわたり、現状追認で再稼働へ猛進しています。彼らがこだわっているのは些末な部分にしか見えません。もはや規制庁も規制委員会は本卦還りをしてしまって、国民の側にはありません。こんな原発の安全性をどうして信用できるのでしょうか。

 以下に、彼女のBlog全文を無断でコピペさせて頂きました。原発施設のクラス1というのは最重要機器を指しています。なお、フランスで指摘された鋼材中の炭素偏析問題についての解説は、原子力資料情報室発行の「原子力資料情報通信 510号(=12/1発行)」に詳しく書かれています。 (2016-12-24)


原発クラス1施設の強度基準「プラントメーカーが製造メーカーに要求するもの」
まさのあつこ | ジャーナリスト  12/21(水) 20:51

原子炉圧力容器等の強度(炭素濃度)問題を国会で問われた田中俊一原子力規制委員長は、「規制を設けてコントロールしている」と答弁。しかし、一方で、規制庁の櫻田道夫・原子力規制部長が、「プラントメーカーが製造メーカーに要求するもの」と答弁、規制の不在が明らかになった。

12月9日、この問題を衆議院原子力問題調査特別委員会で質問したのは初鹿明博(民進党)議員だ。原子力発電所における最重要施設である原子炉圧力容器等の鋼材に強度不足があった場合、「最悪の事態」はどういうものかという質問から始まった。田中委員長の答弁は次の様なものだった。

田中委員長「規制を設けてコントロール」

「炭素の濃度が一定レベルを超えると、固くなって強いんですけれども、脆くなるという性質があります。それで、我が国においても炭素の濃度については規制を設けてコントロールしております。原子炉圧力容器の水が減った場合に緊急炉心冷却というのが働きます。(略)そういう温度差が急激にありますと割れるということ(略)が心配されます」

そこで初鹿議員は、フランスの調査によってトリカスタン原発で見つかった日本鋳鍛鋼の部品は、フランスの炭素偏析基準「0.22%」をはるかに上回る「0.39%」だったと指摘。日本ではどのような調査を行ったのかと尋ねた。

櫻田部長「電力会社が製造記録を確認」

これに答弁したのは規制庁の櫻田原子力規制部長だ。櫻田部長は、2016年8月24日、原子炉の設置者に、原子炉容器等の製造方法と製造事業者を調査し、鍛造製品の使用が確認された場合に、JISに定める濃度を上回るかどうか可能性について報告するよう命じたと説明した。

その「具体的な手法を」と初鹿議員に問われると、「具体的にこうしろという指示はしてございません」、「電力会社がみずから、鋼材をつくった会社等の製造記録などを確認し、その会社に対して聴取をし、その結果、電力会社として責任のある評価結果をつくったと判断した」と回答した。

初鹿議員が「メーカー側の製造記録を調べただけで、現物には直接当たっていない」のかと確認すると、櫻田部長は「フランスにおきましても、最初から現物の検査、調査を行ったということではなくて」と強弁。

しかし、初鹿議員に「では、ちょっと伺いますけれども、フランスで、先ほど挙げたトリカスタン原発では『0.39』という、基準をはるかに超えている部品が見つかったわけですけれども、恐らく、規制を通すときには、きちんと『0.22』の範囲内におさまっていたはずですよ。(略)この現象について、どういう御見解をお持ちなんでしょうか」と更に問われると、「フランス国内で今調査が行われているということでございますので、(略)見解を述べるのは差し控えたい」(櫻田部長)と逃げた。

玄海原発2号「JISは要求値」「0.25%は変動」

そこで、初鹿議員は、玄海原発2号機について追及。「モックアップという模造品を比較して、同じつくり方をした、そういう商品を比較して調べていったところ、炭素濃度が『0.26』と出ているんです。JISの規格を基準にしているというお答えがありましたが、JIS規格だと『0.25』ですよね。これは超えているじゃないですか。超えていますよね。(略)直ちに非破壊検査をして実際の数値を確認するべきだと思いますが、いかがですか」

これに答弁したのも櫻田部長だ。「JISによる要求値でございますけれども(略)、この『0.25%』というのは(略)鉄が溶けている段階での分析値の基準値でありまして、(略)製品段階で得られた試験片の分析においては(略)許容される変動幅というのもまた別に定められております。実際のところは、この変動幅の中で、プラントメーカーが製品の製造メーカーに、この値でおさめてくれ、そういう要求をするというのが実際の工程でございます。玄海2号について申し上げれば、このプラントメーカーが定めた要求値は『0.26%』ということであった」と言う。

玄海原発1号「0.3%は許容範囲」

そこで、初鹿議員は「メーカーが言えばJISの規格を上回ってもいいというのは、何かおかしな話だ」と指摘、次に玄海原発1号機を例に挙げた。

「九電の資料によると、ブランク材の炭素濃度が『0.3%』と出ています。(略)その上で、九電は(略)、玄海1と2は分けて評価しない方がよいと言っているわけです。『0.26』はメーカーの要求したとおりだからいいといっても、分けて評価しない方がいいと言っている玄海1で『0.3』という値が出ているんですけれども、これでも非破壊検査をする必要がないとおっしゃるんですか」

これに対し櫻田部長は、「許容される変動幅」があるが「許容範囲がございます」という説明、さらに「ブランク材というのは大まかな成形をしたという状況でございまして、この後、20%さらに削り込んでいく、そういう工程を経ることになります。(略)この0.3%という値が、ブランク材20%を切り取った後なのか切り取る前なのか、ここがちょっとわからないということでございます(略)。前であれば0.3%ぐらいにはなるし、削り込んだ後だと0.2%になるというのが予測式でございますので、0.3%というのが仮に削る前であれば問題ない」と結論した。

初鹿議員は、「今答えたとおり、これは、要は切削をする前なのか後なのかわからないわけですよね。(略)私は、まずは玄海2号については非破壊検査をきちんとするべきだと思います。そして、玄海1号は、もう廃炉になっているんだから、破壊検査をして、実際に炭素偏析があるのかないのか、そして、メーカーが出している予測値というのが本当に実測値と合っているのかどうかを確認する必要がある」

これには、櫻田部長は時期を明言せず、「玄海1号は(略)廃止措置をするところでございますので、この炭素偏析の問題にかかわらず、さまざま、いろいろデータをとって知見を高める、こういうことに使える価値が大変高いので、規制委員会としても、このプラントを使った研究をぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうに考えて、その旨申し上げている」と答弁。
また、玄海2号については、「確認する必要はない」と繰り返した。

初鹿議員は、「最後になりますけれども、この前、市民団体とグリーンピースが主催をした会で、そちらにいる担当の方が来ていて、こう言っていたんですよ。『規制は、安心という面ではなく、技術的に問題ないことを判断している』と。私は、その考え方は間違っていると思いますよ。技術的に問題ないことを確認するのは当然ですけれども、やはり国民にきちんと信頼をされる、信用してもらえるような規制をしていかないと意味がありません」と田中委員長に質問。

見解を問われて、田中委員長は「圧力容器というのは放射線のレベルが非常に高いところで、なかなか、本当に信頼できるデータがどうとれるのかということも含めて考えなきゃいけないと思います」と、実物調査をやらずに済む理由と、「基本的には特に問題があるとは思っておりません」という結論を述べた。

その上で、「玄海2号炉は今のところとまっておりますので、稼働までにはきちっとした、その点についてももう少し確認を深めていきたいと思います」と答弁した。

基準をコントロールしているのは事業者

この国会質疑を通して明らかになったのは、クラス1施設の安全性(鋼材の炭素濃度)について、国民には信頼のよすがないということだ。

筆者が11月16日の定例記者会見で田中委員長に、日本での炭素濃度の基準の上限は「0.25%」ではないのかと尋ねた時には、荒木進一・原子力規制企画課長が「我々が規制をしているわけではない」と代わりに述べた。(既報)

12月9日の国会では、田中委員長は「規制を設けてコントロールをしている」と答弁。だが、櫻田部長の答弁は違う。細かく追及されると、「0.25%」の基準は「0.26%」でも「0.3%」でもよしと言う。そして現物で確かめる必要は無いと言う。

これでは、基準をコントロールしているのは規制委員会ではない。コントロールをしているのは事業者ではないか。

そう思うところを、12月21日の定例記者会見で田中委員長にぶつけた。すると、田中委員長は「一応、材料の規格としては決めてあって、それを事業者が守るようにしていると思います。それを規制の方は見ている。いちいち、規制委員会とか規制庁が分析をするということではないんです」と回答。規制の不在は深刻なレベルにある。



まさのあつこ ジャーナリスト

ジャーナリスト。1993〜1994年にラテン諸国放浪中に日本社会の脆弱さに目を向け、帰国後に奮起。衆議院議員の政策担当秘書等を経て、東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。著書に「四大公害病-水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市公害」(中公新書、2013年)、「水資源開発促進法 立法と公共事業」(築地書館、2012年)など。
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