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<<   作成日時 : 2016/12/21 23:32   >>

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No.685 2016年の終わりに考える 火山と地震国日本で原発は動かす事ができるのか

 日本の原発の数を数えてみました。現在廃炉が決定していないもの40基+建設中のもの3基ということのようです。もんじゅは数に入れていません。

この残っている原発を運転開始年代で整理すると、1970年代のものが6基あります。年齢で言うと46才から37才のものです。さらに細かく見ると、すでに40才超のものが2基、今年40才になったものが1基あります。

 原発の寿命はもともと40年程度と言われていましたが、福島の事故が起きる前には100年は使えるなどと言う説が出ていました。事故後、40年を経過したものは廃炉にすることになりましたが、60年稼働の例外規定が設けられました。原子力規制委員長は当初は例外規定をパスするものは原則的にないと言っていましたが、今年、この3基の原発が例外扱い、つまり対象になる原発すべてが60年運転が認められました。“厳重な審査”を経、あれこれの改良を加えて機械的には基準に合格することになる、と言うことです。

 この3基はいずれも関電のものですが、関電はこの3基を合計3700億円近くをかけて規制基準をクリアできるように改良工事に取りかかっています。そんな金をかけても元が取れるのかと思いますが、現在の経理の仕組みでは、原発は電力会社にとって打ち出の小槌のような存在のようです。

 規制委員会は60年運転を認めました。また、次々に再稼働を認めつつあります。しかし、規制委員長は、基準をクリアしたと言うことで、安全を保証するものではないと言っています。となると、審査の前提になっている基準はどうでしょうか、国民のの目から納得できるものでしょうか。

 2007年新潟地震が起き、東電の柏崎・刈葉原発の7基が激しいダメージを受けました。記録された揺れ(加速度)が、それまでの設計基準の揺れよりも遙かに大きなものだったからです。そのために原発の設計強度の見直しが始まり、設計基準が大幅に見直されましたが、それでも現実に起きた加速度に対応するものにはなりませんでした。どんな揺れにも対応できる頑健な構造体や機器は造ることができないからです。そうこうしてしている内に東日本大震災に見舞われることになりました。

 この地震で3基の原発がメルトダウンを起こし、4基の原子炉を覆っていた建屋が吹き飛び、大量の放射能が放出されました。メルトダウンの引き金は東電は津波だと主張していますが、地震で配管が損傷したことによるという説が説得力を持つようです。この地震で、原発安全神話は完全に崩れました。

 ドイツは全原発廃炉を決めましたが、我が国は再稼働へ動きました。原子力保安院は原子力規制委員会に改称され、各原発の再稼働申請に対して、細かなチェックをしているようですが、木を見て森を見ずのような印象があります。背景には政治からの干渉を排除できないこともあるようです。

 東日本地震直後、規制委員会はあちこちの原発の断層の調査に出かけました。規制委員会が活断層の疑いを持つと電力会社は必死に抵抗しました。そのこともあって、原発直下の活断層も近傍の活断層も、活断層との断定を避けたままにされている原発が数基、建設工事で断層の状態が不明になったとして稼働を認可した原発もあります。委員会は最近では断層の調査には積極的ではないようです。

2016年に熊本地震という、これまでに類例のないパターンの地震が起きました。この地震から、規制委員会の委員長代理を務められた島崎邦彦氏が、より精度の高い計算方法を見いだし、従来の算出方法を使った原発では揺れの大きさを大幅に過小評価することになるものがある、と指摘しました。彼の説を受け、規制委員会が高浜原発の強度を計算し直したら、設計が破綻して、委員会は大慌てで、彼の説はまだ世間に認められていないなどの理由をつけて却下してしまいました。島崎氏の計算方法が正しいとすれば、大飯原発他かなりの数の原発は即廃炉にせざるを得ません。
 ここではっきりしていることは、規制委員会が使用している基準値は極めて曖昧なもの、原発を直撃するような大地震では、原発の建物や重要機器が破壊される恐れが十分あるものだということです。

 熊本の地震では火山と原発の関係にも注目されました。原発が火砕流に巻き込まれないか、大噴火で降灰の影響を受けることはないか、との問題が提起されました。九電も規制委員会も、大噴火の兆候があれば原発を止める、と言いました。だが、火山学者は火山噴火の予測はできない、と言っています。実際に大噴火が起きた時、冷却中の使用済み燃料を短時間で搬出する事はできないとみられています。

この秋、フランスから原発の重要部品の材料欠陥情報が伝わってきました。原発の圧力容器や蒸気発生器などには高温で高圧がかかります。そのために機器の端部はドーム型に成形されます。そのドームの頂上付近の材料成分にムラがあり、さらに部分的に所定の強度に達していないことが分かったので、12基の原発の稼働を止めたという情報です。問題の製品はフランス製のものと日本製のものがありました。フランスの規制庁がいろいろ調べた結果、日本製のものを使用していた原発10基については再稼働を認めましたが、フランス製のものについては今なお調査が続けられています。日本の規制庁はメーカーや電力会社提出のデータを見て、簡単に問題なしとしました。

 原発の圧力容器の成分(炭素)偏析問題は、玄海1号原発に対して、井野満氏が早くから指摘していました。玄海1号で材料に強度ムラがあるとすれば、この原発とほぼ同じ時代に造られた高浜1号、2号、美浜3号については相当に慎重にチェックされるべき事項だったと思われます。規制委員会がどう扱ったかは承知していません。(玄海1号は2015年廃炉決定)

 これまでに言ってきたことは、原発の安全に関しては、敷地選定、設計から製造に至るまで、安全だと言うにはあまりにも疑問が多く、我々国民は安全らしく見せられているに過ぎない、言葉を変えると、国民は巧妙な演出装置によってマインドコントロール下にあると言うことです。原発の安全を国民が納得するためには、疑わしきは採らず、的な予防原則が徹底されなければなりません。現実は危険だとか疑わしいとされる指摘や事実、あるいは説は排除して、細部にこだわりながら現状を追認しています。老朽原発の60年運転承認はこの典型です。

 きちんと筋道を立てて、安全性を追求すればするほど、日本で動かす事ができる原発はゼロに近づきます。ムリを押し通さなければ原発は動かせない。平たく言うと、原発稼働のためには嘘に嘘を重ねざるを得ないのが実情のようです。

もう一つ重要なことを付け加えます。規制委員会は大事故時の避難については審査の対象外としています。原発立地県や市町は避難計画を作っているようですが、どう見ても実効性があるようには見えません。何万人の住民の避難完了までの時間が24時間以上で、しかも避難先が受け入れる余裕があるのかもわかりません。病人とか老人などの弱者は避難できないでしょう。それ以前に、避難の足の確保ができる保証がありません。

福島の大事故から間もなく6年になります。事故の風化を待っていたように、原発再稼働の圧力が増しています。しかし、火山と地震大国の原発、その特殊条件を本当にクリアできているのか、またできるのか、基本の基に遡って見直さないと、再び大惨事を招き寄せ、本当に日本が終わることになると思います。(2016-12-21)



規制の虜 グループシンクが日本を滅ぼす
講談社
黒川 清

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